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「職場のストレス」を和らげる法律知識

会社で働く方のための情報です。

2020年3月頃に出版予定です。

文責は、すべて私、中川経営管理事務所の所長である社会保険労務士の中川雅博にあります。

パートタイマーだから労災保険給付は受けられない?

パートタイマーやアルバイトといった非正規社員も、労災保険給付を受けることができます。また、給付内容は正規雇用者と同じです。

これは、労災保険は労働基準法上の労働者を対象としているためで、パートタイマーもアルバイトも、事業主との間に雇用関係があり、賃金を得ていれば、正社員とと同様に労災保険給付を受けることができます。 

労災の休業補償は会社が休みの日はもらえる?

【解説】

1 業務上の事由又は通勤による負傷や疾病による療養のため

2 労働することができないため

3 賃金をうけていない

という要件を満たしていれば、会社の所定休日分も支給されます。

勤務日数にかかわらず、上記要件を満たしていれば、仮に週2日しか勤務していなかった場合でも、支給されます。

業績不振の休業で補償はでるか

【事例】

業績不振で業務がないため、仕事を休まされています。休んでいる分の補償はないのでしょうか?

【解説】

会社の責に帰すべき事由による休業の場合、会社は、休業期間中、従業員に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければなりません。

会社の責に帰すべき事由とは、資材が集まらなかったために作業が出来なかった場合や、機械の故障により休業せざるをえなかった場合など、会社都合によるものをいいます。業績不振は、会社の責に帰するべき事由と言えますから、休業補償が支払われるべきでしょう。

有給を使うとボーナスが減る

【事例】

敏子さんの会社では、有給休暇を取得すると賞与の査定にあたってマイナスに評価されてしまいます。会社は有休を取得しなかっただけ多く働いたのだから、当然だと言っていますが、これは法律上問題ないのでしょうか。

【解説】

会社は年次有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額やその他の不利益な扱いをしてはいけません。年次有給休暇の取得を賞与査定のマイナス要素として扱うことも許されません。

会社が労災保険の未加入の場合

「たいへん!会社が労災保険の加入手続を行っていなかったに、ケガをしちゃった」

会社が労災保険の保険関係の成立手続を行っていない場合でも、労働者が業務上又は通勤により負傷した場合には、労災保険給付を受けることができます。たとえ、会社が事業主証明を拒否するなどで、事業主証明が得られない場合であっても、労災保険の請求はできます。社会保険労務士や労働基準監督署に相談ください。 

労働基準法

労働基準法は、会社と従業員が共に守らなくてはいけない法律です。従業員たる労働者が劣悪な労働条件で働かせられることがないように労働者を保護することを目的としています。労働基準法に定められているルールは、最低の基準になっています。ですから、就業規則や労働契約は、それ以上の条件を設定しなければいけません。

ひとまず、労働基準法の第1条を確認しておくとよいでしょう。

(労働条件の原則) 

第1条 労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきもので なければならない。 

2 この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この 基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。

労働契約法

労働契約法は、会社と労働者の間で労働条件に関するトラブルが増加してきたことを受 けて、平成20年にできた比較的新しい法律です。労働条件に関するトラブルを未然に防止するために、労働基準法より詳しく、労働契約のルールが定められています。

例えば、第5条(労働者の安全への配慮)では、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」とあります。

これは、危険作業や有害物質への対策が含まれます。また、うつ病になること等を未然に防ぐメンタルヘルス対策も、会社の安全配慮義務に当然含まれます。

労働契約法には罰則がありません。しかし、安全配慮義務を怠った場合、民法第415条(債務不履行)、民法第709条(不法行為責任)、民法第715条(使用者責任)などを根拠に、会社に多額の損害賠償を命じる判例が多くあります。

サービス残業を疑う7つのパターン

1.タイムカード打刻後の残業

一定の時刻になったらそれ以降はタイムカードの入力ができなくなるとか、定時を超える終業時間が入力できないといった、古典的なサービス残業の方法です。しかし、最近は、サービス残業に対する世間の目が厳しくなってきているため、この方法を使う会社は少なくなってきました。

2.早朝残業の強要

一般に残業は、終業時刻のあとに対応しきれなかった業務を行うことを意味します。しかし、始業時刻以前に働く場合も残業になります。 

そのため、「仕事が終わらないなら早く来てやるきまりになっている」とか、「業務開始の30分前に掃除や朝礼が義務づけられている」場合で、これに対して残業代が支払われていない場合には、サービス残業となります。

 3.自宅に仕事を持ち帰り

 「納期が間に合わないのならば、自宅に持ち帰って、明日の朝までに仕上げてきてよ」と宿題にされる場合も、残業になりえます。この場合に働いた分について、賃金がが支払われていないようであればサービス残業をしていることになります。

 このような持ち帰り残業が、残業代の支払対象となるかどうかは、業務の内容、作業の内容ややり方、会社からの指示の有無など、さまざまな事情を考慮して判断されることになります。例えば、特に期限も厳しくない仕事を、会社に特段指示されることなく持ち帰って、自分の自由なペースで仕上げるような場合には、残業代の支払対象となる労働とはなかなか認めてもらえないでしょう。

 4.不適切な「みなし残業」の処理

 「うちは、固定残業代としてすでに支払っているから残業代は支払わなくてもいい」と説明されるケースです。しかし、このみなし残業の正しく運用するのは、専門家でも難しく、サービス残業となっている可能性もあります。

 固定残業の制度は、給与の額を多く見せるために導入する会社が多いと言われています。私が参加した弁護士や社会保険労務士による研修会で、会社に固定残業を勧めている講師はほとんどいません。残業代を一定額に限定してコストを削減するために行われているのであれば、それは違法だからです。。

 5.名ばかり管理職

 2010年ごろに「名ばかり管理職」という言葉をよく聞くようになりました。そして、小売店や飲食店などの店長が、悪質なサービス残業をさせられている実態が明らかになりました。

 「名ばかり管理職」の手法は、労働基準法第41条2項の条文にある「管理監督者には残業代を支払わなくてよい」旨を都合よく解釈し、社内の独自の基準で「店長」や「マネージャー」を管理監督者として取り扱い、長時間労働をさせつつ残業代を払わないというものです。

 ここでのポイントは、労働基準法上の管理監督者は、かならずしも会社の管理職と一致しないことを押さえておきましょう。「課長以上は管理職であって残業代は支払わない」などとしている会社では「名ばかり管理職」によるサービス残業が行われている疑いがあります。

 6.労働時間の30分・15分単位カット

 賃金計算の際に、労働時間を30分、15分などの一定単位で計算し、その端数を支払わない方法です。

 影響が小さいために放置されがちの手法ですが、労働時間は本来1分単位で集計・計算される必要があります。したがって、このような端数分について賃金を支払わないこともサービス残業に含まれます。

 7.お昼休みの電話番等

 お昼休みの電話番や、出勤してから会社の制服に着替える時間、就業時間後の終礼の時間なども、労働時間と評価される場合があります。

 昼休みも電話が鳴った場合にはすぐに対応するよう指示されているのならば、昼休み中も常に机に待機していなければならないということになります。このような場合には、労働時間となり、会社は賃金を支払う必要があります。

Q. 働き方改革って何ですか?

【解説】

わかりやすい言葉でつくられた用語ほど、しっかりと意味や定義を押さえておくようにするとよいですね。

働き方改革とは、働く方々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で選択できるようにするための改革です。

では、なぜ、そのような改革が必要なのでしょうか?それは、日本が直面する悩ましい背景があるためです。

つまり、「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」と「働く方々のニーズの多様化」の2つです。

働き手不足に対処することとと、働き手の事情に合わせた就業機会を与えることが、現代社会のテーマになっているのです。

その解決策としては、新技術による生産性向上が挙げられます。

いままで人がやっていた作業をロボットにやらせるのは、その一例といえるでしょう。

それとともに、新たに働く機会をつくったり、働き手のモチベーションやスキルを存分に発揮できる環境を作ることも必要になってきます。

そして、働く人の個々の事情に応じて、さまざまな働き方を選べる社会をつくることが、悩ましい今の日本を、良くしていく方法と、政府は考えているのです。

独身でバリバリと働いていた人が、結婚をして子供ができたら、今までどおりの働き方をするのが難しくなります。

そのときに、従来とは違う働き方を選べる社会を、働き方改革は目指しています。

働き方改革は、働く人一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しているのです。

能力不足でクビになるか?

【ケース】

孝一さんは、IT企業に勤める42歳です。大学院で電気工学を専攻して、小規模な会社で2社技術職として働いた後、従業員が350名のこの会社に2年前に転職しました。

孝一さんは、慣れない仕事に四苦八苦。せめて、同社の平均的な水準にまで到達したいと頑張っていますが、なかなかスキルが上達しません。

人材開発部、企画製作部、開発業務部と次々に異動を命じられましたが、とうとう「キミには与える仕事がない」と退職勧告を受けてしまいました。

そしてついに、会社は、就業規則を孝一さんに見せて、「労働能率が劣り、向上の見込みがない」という解雇事由にあたるとして、孝一さんを解雇してしまいました。

孝一さんの人事考課の順位は、たしかに下位10%未満です。これは、この会社の350名のうち、約20名にあたります。

孝一さんと会社は、揉めに揉め、弁護士を立てて裁判にまでなってしまいました。

【解説】

「能力不足を理由とする解雇」が今回のテーマです。

結論から言えば、平均的な水準に達していなかったからといって、直ちに解雇が有効にはなりません。

たしかに、孝一さんの労働能率は、平均的な水準には達していなかったのでしょう。しかし、これは相対評価であって、絶対評価ではありません。このことからすると、直ちに孝一さんの労働能力が著しく劣り、向上の見込みがないとまで言い切れない、というのが裁判所の見解です。

体系的な教育や指導によって、労働能率の向上を図る余地があれば、「向上の見込みがない」という会社の主張は退けられます。

このお話は、平成11年のセガ・エンタープライズ事件をモデルにしていますが、一方で、5年にわたる指導をしても全く改善がなかったケースで解雇を有効とした裁判例(平成25年、日本ヒューレット・パッカード事件)もありますから、孝一さんはこの争いに勝ったとしても、謙虚に努力を続ける必要がありそうです。

 

有給休暇を認めてもらえない

【ケース】

恵里さんは、今年4月に会計事務所に入社した新入社員です。10月に有給休暇が10日間支給されました。

恵理さんは、かねてから、ヨーロッパ旅行に行きたいと思っていました。旅行代金が安くなる2月を狙い、まとめて有給休暇をとることにしました。

「所長、2月1日から7泊8日でフランス、ドイツ、イタリアを周遊してきます。有給休暇を取得しま~す。」と恵理さん。所長は、繁忙期だからダメと言います。

恵理さんは、有給休暇は労働者の権利だ、と高校で習ったと言い張り、ギクシャクした関係になってしまいました。

【解説】

年次有給休暇は、単に「年休」とか「有給」とか言われ、会社に勤める従業員にとって、身近な制度です。この制度を理解するうえで、大切なポイントは、この制度が「働く方の心身のリフレッシュを図ることを目的としていること」「原則として労働者が請求する時季に与えること」の2つです。

労働基準法第39条で、「使用者は、労働者が雇入れの日から6か月間継続勤務し、その6か月間の全労働日の8割以上を出勤した場合には、原則として10日の年次有給休暇を与えなければならない」旨の記述があります。

恵理さんは、この法律をもとに、有給休暇の取得を請求しています。ただし、会社にも「時季変更権」というものがあります。時季変更権とは、「使用者は、労働者から年次有給休暇を請求された時季に、年次有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合には、他の時季に年次有給休暇の時季を変更することができる。」という権利です。

恵理さんは、会計事務所の繁忙期をずらして旅行に行くことはできないか、会計事務所は、恵理さんが旅行に行こうとしている間に、だれか代わりとなる人を充てることができないか、お互いに考えてみてください。というのは、「事業の正常な運営を妨げる場合」か否かは微妙な判断を要求されることが多いためです。

なお、多くの職場では、同僚への気兼ねや請求することへのためらいなどがあり、年次有給休暇を使う割合が、他の多くの国に比べて低い現状があります。そこで、年次有給休暇の取得を進め、従業員が健康で文化的な生活を実現できるように、と考えられたのが、「年5日の年次有給休暇の義務化」です。

ヤバい!また、遅刻だ

【ケース】

千葉市の会社で、システムエンジニアをする翔太さんは、20代でまだまだ学生気分が抜けていません。しかし、この会社で勤務して3年が経ち、次第に大きな仕事も任されるようになってきました。

社長も翔太さんに大きな仕事を任せられるようになり助かっています。今回、わけあって名古屋の取引先が出来ました。そこで、翔太さんは、後輩社員とペアで、この会社の担当になっています。

名古屋のお客様の仕事がある日には、ビジネスホテルに宿泊しています。ある年の2月のこと、翔太さんは寝坊をしてしまい、10分の遅刻をしてしまいました。会社も取引先もカンカンです。学生のときには大きな問題にならなかった10分が、社会人になるととんでもない問題になるのでと痛感します。

しかし、翔太さんは、20日後の3月にも、寝坊をして5分の遅刻をしてしまいます。ただ、翔太さんにとって幸いだったのは、2度目の寝坊は、取引先からのクレームにはつながらなかったこと。それゆえ、社長にも黙っていました。

ところが、後日、取引先から社長に、2度目の寝坊が伝えられたため、社長は大激怒。

就業規則に則って、クビが言い渡された翔太さんでした。

【解説】

この話は、昭和52年の高知放送事件をモデルにしています。この事件は、寝過ごしにより2度の放送事故を起こしたアナウンサーに対する解雇が争われたもので、労働者に有利な事情をできるだけ拾い上げて解雇を無効と判断した事例です。

つまり、この事件では、寝過ごしが悪意や故意によるものではないこと、同僚がアナウンサーを起こす係となっていたこと、1度目の事故発生直後に直ちに謝罪をしていること等、を考慮して、このアナウンサーだけを責めるのは酷だ、としました。

この高知放送事件を参考にしたうえで、翔太さんが、仮に裁判で争えば、解雇が無効になる可能性もあります。

しかし、いまは、スマホやケータイのアラーム機能が充実し、たいていのビジネスホテルには備え付けの目覚まし時計がある令和の時代です。また、昭和の時代に、終身雇用を前提としている正社員に対する解雇を、きわめて限定してきた頃の判例を、寝坊助さんが心の拠り所とするのはいささか危険といえるでしょう。

始業前の掃除時間の給与を払ってよ

【ケース】

駅前のクリニックに勤める芳美さんは、医療事務をしています。始業は、朝の9時からです。

最近、長年、院長をされてきた先生が引退され、息子さんが二代目院長となりました。

この息子さんは時間に厳しく15分前には、掃除をして、9時にはすぐに業務ができるようにするのが社会人のマナーだ、と言います。

芳美さんは、15分前にはクリニックに着き、整理整頓や掃除も含めて身の回りを整えてから、9時にはすぐに業務ができるようにしているのですが、改めて15分前に行動するものだと言われることを快く思っていません。

このモヤモヤ感はなんなのでしょうか。

【解説】

芳美さんが、社会人のマナーとして、15分前に自発的にやっていた準備行為は労働時間ではありません。

それが、二代目院長に代わり、15分前の準備行為が、なかば義務となり、それに対価が支払われていないから、釈然としなくなったのでしょう。

法律の言葉でいえば、8時45分~9時までの間が「労働者の行為が、使用者の指揮命令下に置かれた」状況にあります。

この準備行為が、二代目院長から「義務づけられたとき」、または「余儀なくされたとき」は、この15分は「労働時間」と評価されます。

当然に、この時間に対する賃金を、クリニックは支払う必要があります。

平成12年の三菱重工長崎造船所事件をモデルにしましたが、実務では、小さな会社でもよくある話です。

病気になっていままでの仕事ができなくなった

【ケース】

建設会社に勤める隆さんは、大学卒業後すぐに勤め、この会社一筋20年です。現場監督として活躍していましたが、膠原病になり通院して治療をするようになりました。

その病気のことを知らなかった会社は、翌春からの大きな工事の現場監督業務を隆さんに指示します。

そこで、隆さんは、自分の病気のことを会社に伝え、激務である工事現場での現場作業業務ができないこと、残業は1時間に限り可能であること、日曜と休日の勤務はできないことを会社に申し出ます。

会社は、隆さんの健康面や安全面を考えて、自宅治療のための休業命令を出します。

一方で、隆さんは、事務作業であればできるという主治医作成の診断書を提出しましたが、会社は休業命令を解こうとしません。

休業中の賃金は支払われず、隆さんは不安が募ります。

【解説】

生まれること、老いること、病むこと、死ぬことの生老病死は、人生における免れない四つの苦悩です。

隆さんのように、病気になり、いままでの職務がまっとうにできなくなったらお払い箱になってしまう、というのは不安なものです。

隆さんが、職種や業務内容を特定せずに、労働契約を締結していたならば、現場作業業務がまっとうにできなくなったとしても、会社は、隆さんの能力、経験、地位、会社の規模や業種などを考えて、隆さんにやってもらう業務を考える必要があります。

今回のケースでは、他の業務についてできると主治医が診断書を出しており、隆さんも労務の提供を申し出ています。それを会社が断っているのですから、会社は賃金を隆さんに支払う必要があると言えましょう。

この話は、平成10年の片山組事件をモデルとしていますが、「従業員が病気で従来の業務ができなくなった場合、会社には、労働契約上可能な範囲で配転などを行う配慮が求められている」と解されています。

読者の皆さんが、病気になって働けなくなりそうなときには、決して自暴自棄にならずに、しかるべき機関や専門家に相談するようにしてください。なんらかの打開策があるはずです。

誇張歪曲で会社を批判すると

【ケース】

諭さんは、地元密着型の学習塾グループで社会科を教えています。諭さんは、遅刻が他の教員に比べて際立って多いこと、模擬試験のときに注意事項を聞き漏らして担当教室の受験生に再試験を余儀なくさせたことから、塾長から厳重注意を受けています。

また、グループ全体での教育研修会において社会奉仕活動をテーマに研究発表することになったにもかかわらず、その業務命令に従いませんでした。

とうとう、塾の運営や教育方針にことごとく反発してきたことを理由に、諭さんは解雇を言い渡されました。

すると諭さんは、この塾や塾長が、不正行為を行っているような印象を与える文書を弁護士会等に宛てて送付したのです。

塾の信用を失墜させる行為として、塾長は、諭さんを相手に裁判を起こしました。

【解説】

虚偽の事実を織り交ぜ、または事実を誇張歪曲して、塾や塾長を非難攻撃した諭さんの行為は、解雇を有効としてしまいます。

つまり、塾長の名誉と信用を著しく傷つけ、ひいては塾の信用を失墜させかねないものだからです。諭さんの言動は、「職務の遂行に必要な適格性を欠く」と言えるでしょう。

この話は、平成6年の敬愛学園事件をモデルにしました。

このほかにも、使用者への誹謗中傷は、規律違反を理由とする解雇として有効性が認められる可能性が高まります(平成10年大通事件)。

気に入らないベテラン社員への嫌がらせ

【ケース】

企業の経営アドバイスをするコンサルティング会社に勤める啓史さんは、地方銀行からのエリート転職組です。当初、会社の経営状況もよく、総務課課長として、啓史さんもイキイキと仕事をしていました。

しかし、競合他社の台頭により、徐々に業績が悪化すると、啓史さんと経営陣との関係もギクシャクしてきました。

そのような折り、啓史さんは、経営方針に協力的でないことを理由に、技術職に降格され、これに伴い、役職手当が5000円減額となりました。

1年半後、会社は、啓史さんに、それまで20歳代前半の契約社員が担当していた電話受付担当を命じます。取引先にも、「あの総務課長が電話番をしているぞ」と噂がたっているとか。

啓史さんは、中高年の従業員を辞職に追い込む行為だとして、怒り心頭です。

【解説】

会社には、採用、配置、人事考課、異動、昇格、降格、解雇といった人事権があります。この人事権を、いかに行使するかは、使用者に委ねられた経営上の裁量判断といえます。つまり、会社が従業員を企業組織のなかでどのように活用するかは、会社の自由です。

ただし、このケースは、度がすぎるでしょう。総務課課長であった啓史さんが、わずか1年半の間に、電話番をさせられているのですから。

この「度がすぎる」について、法律のテキストでは、「社会通念上著しく妥当性を欠き、権利の濫用にあたる」とか、「人格権を侵害するような違法・不当な目的・態様にあたる」とか、経営者に委ねられた裁量判断を逸脱する」といった表現で書かれています。

つまり、20代前半の契約社員がやっていた電話番をさせることは、課長職経験のある啓史さんに相応しい職務であるとは到底言えず、啓史さんの名誉や自尊心が著しく傷つけられたと、裁判になれば判断されるでしょう。

このケースは、平成7年のバンク・オブ・アメリカ・イリノイ事件をモデルとしたお話です。

子供が小さいのに転勤?

【ケース】
生活家電を製造販売する会社に勤めている恵子さんは、夫と3歳の長男との3歳暮らしです。
都内にマンションから、会社までの通勤時間は50分。
別の会社に勤める夫の勤務時間は40分です。
 
営業職の夫は、帰宅時間はまちまちです。
ですが、朝は分担して、子供を保育園に送っていっています。
 
ある日、恵子さんは、千葉市のはずれの事業所へ転勤を命じられます。
これでは、通勤時間が1時間45分になってしまいます。
 
困った恵子さんは、共働きの家庭なので配慮してほしいと会社に言ってはみたのですが、、、
 
【解説】
現在、夫婦共働きの家庭は一般的です。
 
まず、会社の就業規則を確認してください。
「業務上、必要のあるときは従業員に異動を命ずる。なお、異動には転勤を伴う場合がある」等の規定はなかったでしょうか。
 
もしも、そのような規定があり、転勤の必要性があるようでしたら、転勤命令に従う必要性がぐっと高まります。
 
もっとも、その転勤命令が、恵子さんに嫌がらせをして辞めさせようとするような「不当な動機や目的」で発せられているようであれば、その命令は無効です。
また、甘んじて受け入れられることが到底できないような不利益を伴うようなものであれば、やはりその命令は無効となります。
 
今回の1時間45分の通勤時間は、どうでしょうか?
裁判では、恵子さんが負う不利益は必ずしも小さくないのですが、転勤命令が無効になるほどではない、と裁判所は判断するでしょう。
 
だからといって、会社の社長は、このような転勤命令を出してよいと早合点しないでください。
このお話は、平成12年のケンウッド事件をモデルにしていますが、いまから20年近く前の判例です。
 
労働契約法3条3項でも「仕事と生活の調和」(ワーク・ライフ・バランス)への配慮が、会社側に義務づけられています。
いま、訴訟になって争われると、負けるかもしれないこと、社長はご承知おきください。
 

労働者側の相談にものってもらえますか?

はい

主に「未払い賃金」「パワハラ・セクハラ」「退職勧奨・退職強要」に関する労働トラブルについて取り扱っております。

社会保険労務士法第1条には、「この法律は、社会保険労務士の制度を定めて、その業務の適正を図り、もつて労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与するとともに、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資することを目的とする」とあり、「労働者等の福祉の向上」にも貢献いたします。

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